AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する
Kiss the Future
「別にいいじゃん、理由なんかなくたって」
そう言って微笑んだ彼女に、僕はどうやって答えればいいのか戸惑った。
放課後の教室。
たまたま最後まで残っていた僕。
偶然教室に戻ってきた彼女。
あまりに出来すぎたシチュエーションに、淡い期待を抱いた僕の思考も及ばなかった彼女の言葉。
「恋人欲しい?欲しいなら、私がなってあげる」
「なんで?」
反射的に僕の口から出た言葉に対する答えが、さっきの彼女の台詞。
「そんなもんかな?」
正直、僕には断る理由なんかない。
だって、僕は彼女が好きなのだから。
けれど、彼女が僕を好きかどうかなんてわからない。
多分、僕はからかわれているのだろう。
「じゃあ、キスしてくれたらOKということで」
僕は冗談めかしてそう言った。
彼女も、冗談っぽく「何言ってんのよ。私とキスしようなんて1光年早いんだから」とか言って笑うに違いない。
それが、今までの僕と彼女の関係だった。
けど。
「わかった。じゃあ目、つぶってくれる?」
予想外の答え。
一瞬、それが何を意味するのかわからなかった。
驚いて彼女を見つめる僕。
普段と変わらない、けれど普段より可愛く感じる彼女。
ああ、やっぱり僕は彼女が好きなんだ。
そして、多分彼女も。
静かに瞳を閉じる僕。
近づく彼女の息遣いが、僕の鼓動を揺さぶる。
触れ合うだけの、軽いキス。
でもそれだけで彼女の思いは伝わってきた。
目を開ければ、少し照れたような初めて見る彼女の顔。
それがなんだかおかしくて、僕は思わず小さく笑った。
「む、何がそんなにおかしいわけ?」
「ゴメンゴメン、君があんまり可愛いからさ」
「何で可愛いと笑うのよ〜喜びなさいよ〜」
そんな風にじゃれあいながら、ふと気付く。
僕と彼女の関係は今までとそう変わっていない。
ただ一つ変わったのは、彼女が好きだということを僕の中に秘めておく必要がなくなったということ。
「わかったよ。そんな可愛い君にご褒美をあげよう」
そっと彼女を抱き寄せ、その口唇を奪う。
二度目のキスに僕らの願いを託す。
歩き始めた二人に、幸せな未来を。
<終幕>