Wish

 「あなたの夢はなに?」  少年は答えることが出来ない。  「じゃあ、あなたの宝物はなに?」  少年は目を閉じ、じっと考える。  少年の目の前にいるのは、小さな、とても小さな妖精。  名もないはかなき存在。  妖精の目の前にいるのは、小さな、そしてか弱き少年。  名を捨てた孤独の住人。  二人を包む世界。  ここには時間すら存在しない。  進むことをやめてしまった少年。  進めずにさまよっていた妖精。  そして、二人は出会った。  「これから二人で探しましょう」  少年は目を開き、妖精を見つめる。  「私には、あなたが必要。あなたはどう?」  少年は妖精に応え、大きくうなずく。  「さあ、行きましょう。私たちはきっと扉を見つけるわ」
<終幕>