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眠れない朝のくだらない夢と缶コーヒー(ホット)

 カシュッ。  いつも通りの朝、いつも通り缶コーヒーのプルタブをひく。  んぐんぐ。  ホットで買ったものの、家に着く間に生温くなっているのもいつものこと。  ぷはーっ。  それじゃあ買ってすぐ飲めばいいって話だが、残念なことに僕は猫舌だ。  そして猫背だ。  だって猫だし。  「って、お前猫かよ!」  そうだよ。  「猫がどうやって缶コーヒーなんか買うんだよ?」  やっぱり、缶コーヒーはブレンドよりテイスティの方が好みだ。  「いや、オリジナルもなかなか……って無視すんな!」  おや、まだ居たのかい。君も暇だね。  「暇ってか、お前が謎なんだ」  君も十分謎だよ。僕にとってはね。  「なんでよ?」  君に僕の姿が見えてるかどうかは知らないけど、僕に君の姿は見えないからさ。  「安心しろ。俺にもお前の姿は見えない」  ならおあいこだ。  「いや、待て。普通猫は喋らないだろ?俺は人間だから猫の言葉なんかわかりっこないんだし」  へえ。君は僕が猫だって知ってるんだ。  「お前さっき自分で言っただろうが!」  確かに僕は猫だし、自分で猫だと言ったよ。でも、君に僕の姿は見えないんだよね?  「ああ、全く見えん」  なら、本当に僕が猫だと言えるの?僕は本当は人間で君をからかってるだけかもよ。  「うむ、そんな気もする。だが、俺はお前を信じる」  なんで?  「缶コーヒー好きに悪いヤツはいない」  ま、いいけど。  「こら!さらっと流すな!」  おっとそろそろ時間かな。  「おい、逃げるのか!」  別に逃げはしないよ。ただ、この時間になると他の猫がコーヒーを買いにくるからね。  「なにぃ?!」  じゃ、僕はそろそろ眠りに戻るよ、それじゃお休み。  「また、変な夢見ちゃったな」  寝ていたのか、起きていたのかはっきりしない。  だからあれが夢なのかなんなのかも、本当はわからない。  ただ、それを見た後の僕の手は、冷えた缶コーヒーをいつも握りしめていた。  「ま、いいや」  缶コーヒーのプルタブを引く。  「ちべて。やっぱホット買ってこようっと」  
<終幕>