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「あてんしょんぷり〜ず、あてんしょんぷり〜ず」
画面がフェードアウトしたかと思うと、微妙に気の抜けたそんな声が聞こえてくる。
続いて画面に現れる、飛行機の操縦席らしきもの。
「何?フライトシュミレーションだったの?」
さっきは確かノベルADVって話だったはずだが。
「いえ、フライトシュミレーションじゃありませんよ」
「そうそう」
僕の意見を否定する香織と琴子。
「ていうかスッチーの格好して言われても説得力ないんだけど」
いつの間に着替えたんだろうか。
「スッチー言うな!」
でもやっぱりあの銃は持ってるわけで。
「だから!こっちに向けて構えるのやめてってば!」
「はいはい、いいから席に着きましょうねー」
なぜか香織が子供をあやすように言う。
しぶしぶ僕は席に着く。
いや、実際に僕が席に着くわけじゃなく、そういうコマンドを選んだわけで。
うーむ、やっぱ説明するのも面倒なので、さも自分がやったような感じで進めていくことにするか。
「え〜、ただいまこの航空機は、ものすごく高く聳え立つ二本のビルに向かってどんどんと高度を下げておりま〜す」
「え?下げて?って、うわ、本当に落ちてるよこの飛行機!つーかそのビルってやばいっしょ!!っていうかなんで落ちてるの!」
突っ込みどころ満載で頭が混乱した。
「落ちゲーですから」
「ですから」
余裕の笑みで答える二人。
「こんなの落ちゲーじゃないよ!!って、うわ、目の前になんだか見覚えのあるビルが!!!」
「あれがテトリス棒です」
「絶対違う!」
僕は慌てて操縦桿を回し、ギリギリのところでビルを避ける。
「ちっ」
「ちっ」
「なんで二人とも不満顔なんだよ………」
「落ちゲーは消えてこそ華!」
「連鎖こそ落ちゲーの命!」
「いやだから、こんな落ちゲーありえないって…………」
「まあしょうがない、それでは次のステージに行きましょうか」
「次のステージって、まさか……」
「ええ、どこかの国防省、通称ペ」
「マテマテ!!そっから先はスイスの銀行に大金が振り込まれたヒットマンがやってくるから言っちゃだめ!」
なんというか。
本当にこんなものを発売するつもりだったのかと、作ったメーカーに小一時間問い詰めたくなる内容だ。
「しかも背景とか無駄にリアルだし」
「あー、なんだかリアリティにだけは相当拘ったみたいよ?」
…………多分、そのせいでこれ作ったメーカー潰れたんじゃないんだろうか。
潰れたというか、消されたというか。
「それはそうと、まだ落ちる?」
「落ちません!つーか落ちたいとか思いません!しかもよく考えたら僕受験生だよ!自分で落ちる落ちる言ってどうするよ?」
激しくがくり。
そんな肩を落とした僕に、琴子が優しい声でささやく。
「来年頑張れ」
ぴっ、と親指を立てる琴子。
ちなみに隣で香織も同じポーズをとっている。
「うがー、まだ俺の受験は終わってねー!!!」
ついに一人称まで変わってしまった。
「でも困りましたね。ここをクリアしないと次のシナリオに進めないんですけど」
「クリアって………ところで、どうやったらクリアなの?」
「落ちる」
「消える」
「ゲームオーバー」
「ダメじゃん!もういいよ、タイトル画面からやり直すよ」
「おお、その手があったか」
どうにも、このゲームには欠落している部分が多すぎる。
本当、発売されなくてよかったとしみじみ思う。
「それでは、またのご利用をお待ちしています」
「ご利用は計画的に」
もう突っ込む気力もなくなっていた僕は、何のリアクションも返すことなくタイトル画面へと戻った。
やれやれ、次はもうちょっとまともなゲームだといいんだけど。
<続く?>
